この歌劇の物語は、沖縄の伊江島で実際に起こった、米軍基地反対の闘争に取材しています。
そして沖縄はもちろん、日本全国各地に米軍基地が存在している現実は、今も変わりません。
1969年の全幕初演 と、1970年の第1次全国公演 に携わった方々の証言をご紹介します。
歌劇「沖縄」は、ご存知の方々も多いと思いますが、米軍による伊江島の土地取り上げに対する島民の闘いを歌い上げたものです。
伊江島の島民は、戦争の惨劇を真正面から受けたばかりか、敗戦後はアメリカ軍に土地を奪われ、生活することさえできなくなったので、その血の訴えは誰の心をも打つ、劇的な事実です。
...困難を乗り切って上演が決まったのは、「沖縄を返せ」の日本中の熱意 にこたえた、うたごえ運動の熱意にほかなりません。
...オペラこそは、うたごえ運動の目的達成に役立つものと念願しながら、いま20年たって実現の運びにいたったことは、何としても大きいよろこびです...
...この作品は、1955年以来の米軍の土地強制接収に抗する、伊江島の農民の土地を守るたたかいに取材して、いまに引きつがれる沖縄県民の柔軟で原則的なたたかいのすがたと、(革新)統一戦線の思想を、歌劇としてつたえよう、と制作されたものです...
...この歌劇の制作には...各界を代表するひとたちの直接援助、またさらに広範な芸術家、知識人の支持、加えて、民主的な青年音楽家の力で結成された新星日本交響楽団などの協力があり、じつに広範な階層にわたるたたかいが、安保廃棄と沖縄全面返還 を中心としてたかまり、(1969年12月27日・衆議院議員)総選挙を勝利へ、と大きく結集するなかで、その結集を基礎とし、その結節点ともなって実現されたものです。
これは歌劇の制作史上でも、解放闘争の歴史の上でも、前例がなく、貴重です...
...歌劇「沖縄」の意義については、次の点があげられます。
(イ)70年安保、沖縄のたたかい の力とする、
(ロ)そのことを通じてうたごえをふくむ民主的音楽運動の発展に寄与する。
創造面では、
(イ)うたごえ運動20年の達成から学び発展させる、
(ロ)日本の民族的な音楽を受けつぎ発展させる、
(ハ)諸外国の音楽の達成から学ぶ。
歌劇「沖縄」の物語は、1955年から58年にかけて、沖縄県国頭・伊江島の農民のたたかい ― 同じ時期に沖縄全土で強行された米軍の土地強制接収に反対してたち上った「土地を守るたたかい」の中心的役割りを果した ―
をえがいたもので、これは日本人民の平和・民主・独立のほこるべきたたかいの一つであり、柔軟にして最も原則的な、しかも断固たるたたかい、(革新)統一戦線と国際連帯の思想として、最も先進的な実践をもっているものです...
...うたごえ運動の人たちが、こうして大変な熱意をもってオペラにとりくんでいることは、私たちにとっても大変な刺激になるし、日本のオペラを前進させるうえでも、大きな役割を果たすと思うんです。
練習をみていて、沖縄の現状には心から、いきどおりを感じました。出演してよかったと思っています...
今回、うたごえのみなさんがつくりあげた歌劇「沖縄」の全国公演に参加させていただいて、大変うれしく思っています。
それは、アメリカによる沖縄伊江島の土地取り上げに反対してたたかう農民の姿が本当にいきいきとうたいあげられたこの歌劇をうたって、沖縄全面返還のたたかい
が、私自身のものになったからです。
また、今まで多くのオペラのアリアをうたってきましたが、いま考えると、たいへん無内容なものだったと思われてなりません。
それほど、今回の歌劇「沖縄」の内容が、私自身のものになりました...